灰羽連盟 そのいち 前置きに代えて
小説では、物語は文字だけで綴られるものだ。
しかし、映画やアニメの世界では、そうではない。
今回は、取り上げるものとの関連で、アニメの話に限定しよう。
アニメにおいて物語とは、映像や音楽などの要素を持って、複合的に描き出されるものだ。
これは、創作する側にとってみれば、アニメが小説やコミックに対して有利な点であり、同時に不利な点でもある。何故か。
制作する際に多彩な表現手段が使えること自体には問題がない。
ただ、多彩な表現手段が使えるために、数々の点で瑕疵を生じる確率が高くなる。問題はここにある。
例えば音楽を例に挙げてみよう。
アニメにおける音楽は、余人にはいざ知らず、私にとってはただの添え物ではない。楽曲そのものが良いことはもとより、楽曲と世界観との融和が肝心である。
その曲がどんなに名曲であったとしても、場面と合っていなければ意味がない。これは、誰でも思うことだ。
だが、それだけではなく、世界観上存在し得ない楽器を使うことにも、当然に慎重であって欲しいと思うのだ。シナリオにおいても勿論同じことが言える。
単純なリアリティの問題でこのようなことを書いているのではない。
必要ならば、世界観と一致しない音色を用いても構わない。リアリティに拘泥するあまり、表現上の限界を設定しすぎるのもよろしくないのだから。
さて、そうして考えてみると、多様な表現が可能になることが決してよいこととばかりは言えないことが明らかになるだろう。
次回は、以上の内容を踏まえた上で灰羽連盟という作品について語ってみたいと思う。
